その日の天使(たきで)

僕が敬愛する作家中島らもさんのエッセイの中に、"その日の天使"という考え方が出てくる。

 

"その日の天使"の考え方はうろ覚えだけれど、こんな感じだ。

 

「人一人には必ず"その日の天使"がいる。それは例えば、思いもよらない誰かからの電話であったり、ふと開いた本の些細な言葉であったり、たまたま通りがかった焼き芋屋さんであったりと様々な姿・事柄になって現れる。"その日の天使"は、しんどい気持ちになっている時ほど気づきやすい。いっそ今死んでしまおうかという時に思いもよらないことにふっと心が救われることがある。それが"その日の天使"なのだ。」

 

僕は高校生の頃にこの考え方を知ってから、あらゆる場面で"その日の天使"を感じてきた。

人に誘ってもらった時、お礼を言われた時、たまたま運が良かった時、不意に電話やLINEが来た時……。

 

基本的に僕は人から"その日の天使"を感じることが多い。だからもし誰かが連絡を取ってきてくれたならば、それは僕にとってきっと"その日の天使"たりえ、心が救われるのだろう。

 

結局、誰かから接触して貰うことでしか、僕は自分の存在意義を確認できないのかもしれない。少し寂しいことに。